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Internet Archiveに残っていた旧ブログ記事のサルベージ

 プロフィール欄にも書いたように、このブログは嘗て「Babylon5以外のメモ」という名前で別のところで書いていたブログを射てbンしたものです。その際にうっかりバックアップを忘れているうちに、旧ブログ自体が消えてしまい、書き溜めていた記事がほぼ消えてしましました。ところが先日某所で"Internet Archive"の存在を知り、そちらで探してみたところ、一部の記事のキャプチャーが残っているのを発見しました。ただ目次と記事の冒頭の一覧のうち、記事本体が残っているのはさらにその一部にすぎません。
とにかく本体が残っている記事に関しては、そのコピーを当時の日付でこちらにアップし、ついていたコメントもその追記欄に貼っておきます。
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ベテルギウスの減光と超新星爆発の可能性

 ブログタイトルにある「宇宙」に関する記事がほぼ1年途絶えていました。もちろんその間にも、天文関係のさまざまな話題があったのですがうまく文章を纏めるのが億劫で書きそびれていたのですが、今回の話題はそれほど長い文章でなく済むものです。
 すでに一般紙やネットニュースでも報じられている通り、オリオン座のアルファ星であるベテルギウスが近年まれにみるレベルまで減光しており、一部では超新星爆発の前兆ではと大げさな話になっています。ベテルギウスはもともとが半規則型のSRC型脈動変光星であり、大まかに0.0等から1.2等まで実視等級が変化していますが、今回はその幅を超えて1.4等級以下まで減光し、1等星の範囲からはみ出す寸前です。実際ちょうど冬の星座として夜半前に南天に見えるオリオン座を眺めると、オリオンの左肩にあるベテルギウスは右肩のベラトリックスとほぼ同じ明るさに見え、通常の見え方とはかなり感じが違っています。

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焦熱期 (ポール・アンダースン著:ハヤカワ文庫SF)

 こちらもハードSFというべきか、少なくとも天文学的設定は非常にしっかりとした作品です。三つの恒星からなる連星系というのは、基本的にはこの作品のアヌ・ベル・エア系タイプしかありえない、つまり比較的近い距離を公転しあう連星系のはるか外側を第三体が長周期で公転する形しか安定ではなく、通俗SFであるような三つ以上の恒星が互いに近距離に存在する事はありえません。さらに言うと、そこに安定して惑星が存在するのなら、それも必然的にこの作品のようにどれか一つの恒星のみを公転するタイプであり、そのため内側の連星系の周期も人間レベルで言えば十分に長い必要があります。
 ただしアヌ・ベル・エア系の天文データに関しては疑問があります。アヌとベルの近星点距離が40auで遠星点距離が224auという事は、イシュタルから見たアヌの両点での光度比は(224/40)^2=31であり、4等級程度しか変わりません。従ってアヌの近星点での光度が太陽とほぼ同じベルの20%程度とすれば、遠星点に位置していても満月よりははるかに明るい-20等級程度はあるはずです。一方で、赤色矮星であるエアの距離が6000auすなわち0.1光年という事は、イシュタルから見たその明るさはせいぜい-3等級であり、せいぜい非常に明るい恒星としか認識できないはずです。天球面での動きも極めて遅いので、恒星ではない「もう一つの太陽」とは認識できないのではないでしょうか。ただイシュタル人の寿命が地球人よりかなり長く、さらに前の焦熱期以前の天文データが残っていると思われるので、何とか認識可能なのかな。

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テーマ:本の紹介 - ジャンル:本・雑誌

タウ・ゼロ (ポール・アンダースン著:創元SF文庫)

 ポール・アンダースンの代表作とされる有名作品ですが、私はずっと昔に途中まで読んで挫折した記憶があります。恐らくちょうど私自身がSFに興味をなくしかけていた頃だった上に、中盤の陰鬱な展開に耐えられずに投げ出したのだと思いますが、今回改めて読んでみると、単に壮大なハードSFというだけでなく閉塞状況の中での人間心理描写も優れていて、さすがこの時代の第一人者の作品だと感心しました。
 スペースオペラ系では普通に使われている超光速を封印し、あくまで現実に即した亜光速での恒星間飛行という限界を保持しながら、銀河系を飛び出し宇宙そのものをもある意味で飛び出すという正にぶっ飛んだ展開の一方で、作品のもう一つのテーマは閉鎖された宇宙船内での濃密な人間模様と葛藤という、かなり変わった作品です。作品の舞台となる宇宙船「レオノーラ・クリスティーネ号」は、世代型を除く恒星間宇宙船として唯一原理的に可能とされていたバザード・ラムジェット推進であり、燃料切れの心配なしに無限に加速可能です。この設定を逆手にとって「もし止めることができなくなって、本当に無限に加速し続けたらどうなるのか」というアイディアと、当時の最先端宇宙論とを組み合わせた結果、終盤までの重苦しい展開から一転して明るい未来が開けていきます。
 ただし、宇宙膨張が止まって収縮に転じ、さらに跳ね返って新しい膨張宇宙が生まれる、という設定自体は当時の宇宙論的にはあり得るのですが、宇宙の構成物質だけでなく空間そのものが膨張・収縮しているため、宇宙船はどころかどんな物質もビッグクランチを通過して次の世代の宇宙に行く事は不可能です。その点は作者が宇宙論を誤解していたようにも思えます。

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タイム・パトロール (ポール・アンダースン著:ハヤカワSF文庫)

 Poul William Andersonは、20世紀の米SF界をかなり長期にリードした有名作家の一人であり、多作かつ外れのない作家として知られています。どういう訳か私自身はこれまで彼の作品をほぼ読んだ事がなく、確認したところこれ以前にきちんと読んでいた長編は「天翔ける十字軍」一作だけでした。これも今回調べたときに初めてアンダーソン作品と知って、彼の作風の広さに驚いた次第です。私のイメージする彼の作品は、代表作「タウ・ゼロ」を始めとするハードSFの方なのですが、今回取り上げる「タイム・パトロール」シリーズはややそのイメージとは異なる「スペースオペラ」ならぬ「タイムオペラ」とでもいうべき展開です。ただし、そこに描かれている歴史的描写や「歴史のイフ」が起こった場合のシミュレーションには、ハードSFの大家らしい綿密さを感じさせます。この「タイム・パトロールシリーズ」は雑誌連載された中編小説からなり、本作はその初期の4編をまとめたものとなります。
 主人公エヴァラードがタイム・パトロールにリクルートされ、漸新世に設けられた施設で訓練を受けたあと最初の任務を行い、その後の事件の結果無任所職員としてさまざまな時代で任務をこなす事になる経緯を綴る第一話「タイム・パトロール」の後、第二話「王者たるの勇気」では、すでにベテラン隊員となっているエヴァラードが、行方不明となった友人のパトロール隊員を探して紀元前6世紀のアケメメス朝ペルシャに向かいます。さらに第三話「邪悪なゲーム」では、正史に反して14世紀に北米大陸に渡った元の探検隊と対峙し、第四話「滅ぼさるべきもの」では大規模な歴史改編に巻き込まれたエヴァラードが、その原因を突き止めて元の歴史に戻すために奮闘します。
 未来世界においてタイムマシンが実用化されるとそれを悪用して歴史改変を試みるものが現れ、それに対抗するための組織が作られる、というのはある意味定番なのですが、この作品世界でのタイム・パトロール組織の主導者であるデイネリア人は、ほぼ影に隠れて指示のみを与える存在であり、一般の隊員の前に姿を現しません。デイネリア人は恐らく100万年以上未来の人類であり、現存人類とは姿や思考も変わっているようです。実の処、彼らは必ずしも絶対善とも思えず、彼らが守ろうとしている歴史が本当の「正史」なのか微妙に思われる部分があります。例えば第三話での元の探検隊による北米大陸発見は、タイムトラベラーによる介入ではなくその世界の人間が独力で成し遂げたものです。始めは穏やかな手段で探検隊を引き返させそうとしたエヴァラードですが、それに失敗して同僚が瀕死の重傷を負った事もあり、探検隊を本国に戻れなくする強硬手段を取ります。この処置はどうやら彼がパトロール上層部から指示を受けた結果のようで、それによって元が北米に到達しない歴史は保たれたものの、それが本当に正しかったのか、エヴァラートは(そして読者も)疑問に悩まされます。

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