FC2ブログ

予期せぬ処刑のパラドックス

 帽子の問題に引き続き、よく知られた論理パズル、というかこの場合パラドックスですが、次のような問題です。
 ある土曜日に、死刑囚が看守に次のように言い渡された。「来週の月曜日から金曜日のいずれかの日の日中にお前は処刑されるが、その処刑日が何曜日なのかは、当日になるまでお前にはわからない。」これを聞いた死刑囚は次のように考えた。もし処刑日が金曜日なら、俺は木曜日まで処刑されず、従ってその時点で処刑日が金曜日だと判ってしまう。従って処刑日は金曜日ではない。すると月曜日から木曜日のいずれかしかないが、もし木曜日なら水曜日までは処刑されないから、やはりその時点で処刑日が木曜日だと判ってしまう。従って木曜日も有り得ない。同様に、水曜日も火曜日も月曜日も有り得ないから自分は処刑されない。こうして安心していた死刑囚は、水曜日に処刑されてしまった。一体推論の何処が間違っていたのか?
 これは帽子の問題と異なり、現時点でも正解がはっきりしない正にパラドックスのようです。この問題に関して調べてみると、色々な説明がされているのですが、面白い事に、推論の第一段である「金曜日には処刑されない」という尤もな結論が正しいのか正しくないのかが、既に人によって分かれています。確かに「だから金曜には処刑されない」と安心している金曜日に処刑されれば、正に「予期せぬ処刑」な訳で、「解らない」をそういう意味に取れば推論の最初から間違っている事になります。
 そう考えてみると、「わかる」の定義が曖昧な事が問題点の一つであると言えそうです。逆に何らかの理由で例えば水曜日が処刑日だと「わかった」死刑囚が火曜日にそう言ったとき、看守が「処刑日は水曜日ではなく火曜日だ」と言われて処刑されてしまえばそれまでで、「始めの時点で処刑日が決まっていて後から変えられない」という条件でもなければ、問題自体が成立しないように思えます。また、「問題の週に処刑しない」事が看守に許されるかも問題で、それが許されなければ(例えば、その週のうちに処刑を実行しなければ逆に自分が処刑される)、処刑日を金曜日にする選択肢は、看守にとってリスクが大き過ぎると思われます。
 仮に、
1. 看守は前もって処刑日を何かに書いてそれを第三者に渡しておき、その後の変更は許されない。
2. 死刑囚は処刑日を予想し、予想した処刑日前日の夜までに第三者に伝え、第三者は手元にあるメモとつき合わせて、合っていれば死刑囚を釈放し、間違っていればその時点で処刑を実行する。
3. 予定された処刑日の前日までに死刑囚からの意思表示がなければ、予定通りに処刑を実行する。
 というルールにすれば上に書いた曖昧さは無くなりますが、これでは全くの運任せ(死刑囚の予想が当たる確率は日曜日の時点で1/5)の別の問題になってしまいます。
 以上のように色々と考えてゆくと、このパラドックスは問題そのものの曖昧さが原因であるように、私には思われます。

続きを読む»

スポンサーサイト



テーマ:雑学・情報 - ジャンル:学問・文化・芸術

プロフィール

X^2

Author:X^2
このブログは、旧ブログ
Babylon5以外のメモ
からの移転先として立ち上げました
。連動するホームページである
Babylon5 Episode Guide
にもどうぞ。

最新記事
最新コメント
月別アーカイブ
カテゴリ
検索フォーム
リンク