血の伯爵夫人 (アンドレイ・コドレスク著:国書刊行会)

 国書刊行会の「文学の冒険」シリーズには、日本ではややマイナーな分野の翻訳名作文学が並んでいるのですが、この二巻本の小説もその一つです。タイトルの「血の伯爵夫人」とは、若さと美貌を保つために多くの処女を殺してその生き血を浴びたとされる、16世紀後半のハンガリーに実在したバートリ・エルジェーベトの通り名です。ハンガリー国内でも最有力貴族だった彼女は、その残虐行為が噂となりながらもかなりの間咎められる事はありませんでしたが、周辺貴族の娘にまで犠牲が及ぶに至ってついに捜査の手が及び、裁判の末に扉と窓を塞いだ自身の寝室に終生閉じ込められる判決を受け、幽閉されたまま3年後に死亡しています。彼女の裁判に関しては政治的意図による歪曲があったものの、残虐行為そのものはほぼ事実とされています。この作品における彼女の描写もその見方に沿っており、残虐なサディストではあるが政治的には有能である裕福な大貴族であり、それが故にプロテスタント教会や皇帝、国王に危険視されて陥れられた人物として描かれています。
 ところで日本語タイトルは"The Blood Countness"の訳なのですが、彼女の称号は「伯爵夫人」ではなく「女伯爵」が正しいのではないでしょうか?

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