砂漠のシモン (ルイス・ブニュエル監督:メキシコ映画)
この映画は内戦後にスペインを逃れていたブニュエル監督のメキシコ時代最後の作品であり、製作途中で予算が尽きたために当初のシナリオを変更して40分強の中篇映画となっています。ネットでの解説では、主人公シモンは最後に悪魔の誘惑に負けたという事になっているのですが、実際のところそうなのでしょうか?確かに彼はディスコで悪魔と酒を酌み交わしてはいますが、ダンスに加わる事はなくその場に居る意味も感じていないようだったので、悪魔が誘惑に成功したとは思えないのですが。なお、シモンのモデルは5世紀に実在したシリアの登塔者聖シメオンですが、伝承ではあのように搭上に立ち続けていたわけではなく、塔の上の小屋に住んでそこで神に対する祈願を続けたとされています。