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聖なる酔っぱらいの伝説 (ヨーゼフ・ロート著:白水社)

 piaaさんのブログの記事に触発されて借りてきた本なのですが、そちらで取り上げられている岩波文庫版とは収録されている作品が異なり、記事で詳しく書かれていて本来読みたかった「蜘蛛の巣」がありませんでした。しかし白水社版に入っている「皇帝の胸像」が関連するテーマを取り上げている非常に印象的な作品です。
 「皇帝の胸像」の主人公であるモルスティン伯爵はハプスブルク帝国の小領主であり、ある意味ハプスブルク帝国のよき部分を体現しているような人物です。彼は自分の領地において極めて寛大かつ善良な君主として秩序を保ち、全ての領民に尊敬されています。しかし第一次大戦の結果、彼の領地のある東ガリシアは新生ポーランドの一部となり、新政府と新興資本家によって彼の権威は侵食されていき、ついには敗北に追い込まれていきます。モルステイン伯爵は旧弊な貴族ではなく知的で洗練された国際主義者であり、民族主義の行き着く先を見通していましたが、それが故に自らの敗北を悟り、旧帝国の象徴としての皇帝の胸像を埋葬して領地の解散を宣言します。

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