シリウス (オラフ・ステープルドン著:早川文庫)
ステープルドンが残した四つの長編SFのうち最後(1944年)に書かれた作品で、四作のうちでは最も読み易いのではと思います。以前に紹介した「オッド・ジョン」と共にハヤカワ文庫から出版されており、個人がほぼ描かれていない他の二作とは対照的に、「主人公」の出生の経緯からその生涯がその「友人」である語り手によって語られるという形の伝記のような体裁で書かれた作品です。この本を買ったのはずっと昔恐らく高校生の頃なのですが、今回この記事を書くにあたってじっくりと読み直してみました。特にSFの場合、昔に読んだときにはとても良く思えたのに今読み返すと色々と粗が見えてしまう作品が多いのですが、「シリウス」も以前の記事に書いた「オッドジョン」もそのような部分はほとんどなく、やはり非常な名作なのだと改めて感心しました。
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