来るべき種族 (エドワード・ブルワー=リットン著:月曜社)
「フランケンシュタイン」などと同じく「プレSF」とでも形容すべき19世紀英国の作品です。SFかオカルトなのか正直分類に悩むこの作品ですが、訳者解説にあるように米SFとは異なる英国の「サイエンティフィック・ロマンス」というカテゴリーで考えるのなら、その中の非常に正統的な作品と思われます。私はエドワード・ブルワー=リットンの名を知らなかったのですが、訳者解説によるとヴィクトリア朝時代の有名作家であり、「ポンペイ最後の日」が代表作との事です。本作もユートピア思想史やSF先駆作品研究では度々名前の挙がっていながらこれまで邦訳されなかったものとの事で、そういわれてみるとSFの年表等でこのタイトルを見たような記憶もあります。なお、著者は生まれは郷士階級ながら自由党下院議員を経て保守党議員から植民地大臣を務め、のちに初代リットン男爵となった人物で、孫の2代目リットン伯爵は満州事変の際の「リットン調査団」の団長を務めています。
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