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ロリータ/魅惑者 (ウラジーミル・ナボコフ著:新潮社ナボコフコレクション)

 非常に有名だが、実はあまり読まれていない文学作品というものは結構あります。例えば「ドン・キホーテ」などは、縮約版というか一部を切り取ったものが世間に流布していますが、作品全体を読んでいる人はかなり少ないでしょう。また「フランケンシュタイン」は、「狂気の科学者に創造された怪物が創造者に牙をむく」という部分のみが知られていて、ついにはフランケンシュタインが怪物の名前だと間違えられている始末です。今回取り上げるナボコフの「ロリータ」もまた、そのような作品の一つではないでしょうか。そう思ったのは、この作品から生まれた「ロリータコンプレックス(ロリコン)」という言葉の現在の日本における使われ方の軽さと、この作品の内容とのギャップに、今回初めて読んだ私自身も驚いたからです。

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