210ベクレルのヨウ素131とは一体どのくらいか?

 巨大地震の被害もさる事ながら、原発事故とそれによる放射能漏れの影響の方が、先が見えないだけにより日本社会の不安感を増す要因となっています。昨日には東京の金町浄水場の水から1リットル当たり210ベクレルのヨウ素131が検出されたというニュースがあり、首都圏にも放射能汚染に対する不安が広がっていますが、この量は実際にはどのくらいなのか、計算をしてみました。
  まずそもそも1ベクレルとは何かですが、1秒当たりに1個の原子核が崩壊するときの放射能を1ベクレルと定義しています。従って、崩壊の速さが異なる放射性物質に対しては、同じ1ベクレルであっても相当する原子数は異なります。
 さて、放射性元素の原子数Nは始めの原子数をN_0としたとき、N=N_0 exp(-at) という式で表されます。ここでtは初期時刻からの時間であり、この式は時間が経つにつれ崩壊によって原子数が減っていく事を示しています。またaは崩壊の速さを決める定数であり、aが大きいほどその元素は速く崩壊していきます。
 通常、放射性元素の崩壊の速さは半減期、すなわちその原子数が崩壊して半分に減るまでの時間で表します。ヨウ素131の場合は半減期が8.02日すなわち8.02×86400秒ですから、
N_0 exp(-8.02×86400a)=N_0/2 すなわち exp(8.02×86400a)=2 従って8.02×86400a=log 2=0.693 となり、これから a=1.00×10^(-6) s^(-1) が得られます。
 一方でatが微小のとき、指数関数は
exp (-at)=1-at+...
と展開されます。この式は、tだけの時間が経ったときに、元々の原子数のうちatだけの割合が崩壊して減る事を意味していますから、元の式で見ると1秒間にはaN_0だけの原子が崩壊する事になります。従って210ベクレルのヨウ素131の場合は、210=1.00×10^(-6)×N_0, 従ってN_0=2.10×10^8個の原子数となります。
 この数だけ見ると相当の量のように見えますが、アボガドロ数は6.02×10^23ですからヨウ素131の1モルつまり131グラムの原子数が6.02×10^23個であり、2.10×10^8個のヨウ素131は、
2.10×10^8×131/(6.02×10^23)=4.57×10^(-14)グラムとなります。
1リットルの水は1000グラムですから、重量比にすると4.57×10^(-17)となり、2京分の1というわずかな量です。
原子数比でみると水の分子数が18なので、
4.57×10^(-17)×18/131=6.28×10^(-18)従って16京個の水分子に1個の割合でヨウ素131が含まれている事になります。これを非常に少ないと考えるか、それとも放射能だから十分大きいと考えるかは、ご自分で判断ください。

追記:数日後には、ヨウ素131の数値が検出限界以下に下がったと報じられ、逆にいくら何でも早すぎると不思議に思いました。しかし実は検出限界すなわちこれ以下は計測できないという数値が20Bq/Lと判り、唖然としました。つまり100Bq/Lは、限出現解のわずか5倍に過ぎなかった訳で、こんな数値で大騒ぎしていたとは、という思いです。
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