アラトリステ

 この年末にDVDで観たスペイン映画です。公式サイト
原作はスペインの作家Arturo Pérez-Reverteによる同名の5巻シリーズ小説で、5巻全てを2時間強の映画にまとめているためか、シーンの切り替わりで急に時間的に飛んでいたりして、かなり解りにくく感じました。恐らく原作を読んでいる人なら、はるかに楽しめたのだと思います。
 物語の舞台は17世紀のフェリペ四世時代のスペインで、デュマの「三銃士」シリーズと同時代となります。この時代のスペインとフランスは、それぞれオリバーレスとリシュリューという強力な宰相の指導の下でヨーロッパの覇権を賭けて対立を続けており、「アラトリステ」にはオリバーレスやフェリペ四世を始めとする当時の実在の人物たちが登場しています。「三銃士」が昇り調子の新興国フランスでの冒険出世物語なのに対し、「アラトリステ」は全盛期を過ぎて没落へと向かうスペインでの最後の栄光の物語とでもいうべきでしょうか。

 ところで最終盤のロクロワの戦いのシーンにおけるスペイン歩兵部隊の特異な戦闘隊形は、実際に当時の「スペイン方陣」(テルシオ)を忠実に描写したものです。Wikipedia -- テルシオ 長槍を揃えた密集陣形の四方を銃兵で取り囲んだこの隊形は、重騎兵の突撃に対抗するために編み出されたものであり、実際長きに渡って無敵を誇り、スペインの栄光を支えました。一方で機動力にはきわめて乏しく、いわば防御に特化した戦闘隊形です。
 フランス軍の大砲での砲撃によって、何も出来ないままにバタバタと味方が倒れる映画でのシーンを見ていると、「こんな陣形はナンセンスでは」と思ってしまうのですが、当時の火器の命中精度は低く、テルシオに決定的な打撃を与える事は出来なかったようです。しかし正にこのロクロワでの大敗によって、テルシオの軍事的優位さは大きく揺らぎ、やがては消滅する運命となりました。

 それから、DVDの特典映像にあったカットシーンの中に、グアダルメディーナ伯爵が謎の日本人侍の剣術演技を鑑賞しているものがあり、びっくりさせられました。調べてみると伊達正宗の命を受けた支倉常長がメキシコ経由でスペインに渡り、国王に謁見したのは1615年で、時のスペイン王は一代前のフェリペ三世ということです。支倉はフェリペ四世即位の前年1620年に帰国していますから、彼の随員が残っていたにしてもなんだか時代が合わない感じで、別の日本人侍がスペインに滞在していたという事なんでしょうか。この辺も原作を読むと解決する謎なのかもしれません。
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テーマ:洋画 - ジャンル:映画

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