Sucker Punch (エンジェルウォーズ)

 「小さな画面で字幕」という悪条件で観た映画で、「妄想内妄想」という設定が最後になるまで理解できなかった事もあり、頭の中が大混乱となりました。さらにバッドエンドの後味も相当に悪いのですが、同時に色々と考えさせられる映画でした。ネットで検索後に知った邦題で出ていたら、恐く観なかったと思われます。さまざまな感想を読むと、どう見ても勘違いだろうと思われるものもありますが、以下のように深く読み込んでかなり高い評価をしている感想もあり、私自身もそれらの感想に同感です。しかし一方でそれらの感想は、「オタクの脳内妄想を全開させただけの馬鹿映画を勝手に深読みしているだけ」の可能性も否定できません。
k.onoderaの日記
メモリの藻屑、記憶領域のゴミ
 (見掛け上の)主人公の少女ベイビードールの二重の妄想の中の「賢者」が、ラストシーンにおいて彼女の妄想を知る筈のないスイートピーの前に現れたのにも混乱しましたが、これは一つ目のリンク記事の指摘通り、唯一の希望をもたらすラストシーンもまた妄想でしかない事を示しているのだと思います。また、映画では決して描かれなかった「ダンス」の正体も、余りにもおぞましく辛い現実を覆い隠すための幻想(あるいは自己暗示)という第二のリンク記事の通りで間違いないでしょう。そう考えると、この映画は本当に何の救いもないように思います。病院のシーンで描かれている事件そのものは現実なのだとすれば、病院を実質的に暴力支配してきた看護師の男が逮捕され、彼の供述によってあの病院でのこれまでの事件が白日の下にさらされると共に、ベイビードールの義父にもまた司直の手が及ぶ事になり、事後的には正義が実現されるのだと思いますが、死んだあるいはロボトミー手術をされた者たちは救われる訳ではありません。
 始めのリンク記事の文章を引用すれば、「想像力、妄想力というのは、あらゆる困難を乗り越える力になり得る」というのがこの映画の主張だとすれば、それは多くの感想で書かれているように、「ダンサー・イン・ザ・ダーク」や「パンズ・ラビリンズ」に先行されたものであり、オリジナリティを欠いているように思います。
 また色々とつじつまの合わない部分があるのも確かです。例えばロボトミー処置を受けて心を失ったベイビードールを強姦しようとした看護師が、「(意思がない)こんな女が欲しかったのでは無かった」と叫びますが、とすると恐らく彼女はその前の時点では彼を拒み通したと解釈できます。しかしそうなると散々「ダンスを踊った」のとつじつまが合いません。それらの点で傑作とは言いかねますし、どう見ても他人にお勧めできる作品ではないのですが、それでも妙に印象に残る映画でした。

 追記:映画で描かれる「ロボトミー手術」は、麻酔等も無しに患者の額にアイスピック状の棒を突き刺すという「手術」というには余りにも乱暴な処置で、いくら何でも現実の手術とは異なるものと思います。しかし奇しくもこのブログで取り上げているJustice Leagueの名作「より良き世界」のジャスティスローズの世界で、スーパーマンがヴィランたちに実行した処置が、正にこのままのものでした。
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