最も軽い液体を発見

Yomiuri Onlineに掲載されていた記事です。

1リットルで2グラム…最も軽い液体を発見

 東京大の研究チームは20日、1リットルに換算するとわずか2グラムという、世界でもっとも軽い液体を発見したと発表した。研究成果は米物理学会誌「フィジカル・レビュー・レターズ」に掲載された。
 ヘリウムの一種である「ヘリウム3」が特殊な条件下で液体になったもので、これまで世界でもっとも軽いと考えられてきた液体水素の30分の1の軽さだという。
 気体状の物質は一般的に、温度を下げると液体になり、さらに下げると氷のような固体へと変化する。しかし、通常のヘリウムよりも軽いヘリウム3はこれまで、原子1個分の厚みしかない平面状の層の中に閉じこめると絶対零度(氷点下約273度)まで冷やしても気体のままだと考えられてきた。今回、研究チームが実際に、平面に閉じこめて温度を下げたところ、絶対零度近くで、密度が非常に低く、軽い液体に変わったのを確認したという。

 以上 Yomiuri Online 12/23 9:31の記事からの引用
 ヘリウムには二つの同位体があり、ほとんどはヘリウム4ですが、中性子が一つ少ないヘリウム3がごくわずか存在しています。そもそもヘリウムは全ての元素中最も沸点が低く、さらに量子効果による零点振動が大きいために常圧ではどんなに温度を下げても固化しない物質です。また液体ヘリウム4は2.17Kで相転移を起こし、超流動状態となりますが、これもボース凝縮と呼ばれる量子効果によるものです。液体ヘリウム3の場合、質量数がさらに小さいために、当然その密度もヘリウム4より小さいのですが、これも零点振動の影響のため予想される3/4よりもかなり小さくなっています。
 実はこの記事にある二次元の場合に、液化すらしないはずという話は全く初耳でしたが、確かに次元の影響は大きそうなので、あっても不思議ではないですね。今回の発見の二次元液体ヘリウム3の密度は、3次元の場合の1/30程度しかないので、一つ一つの原子が相当に離れている事になります。その場合に、気体状態と液体状態とを区別するものは一体なんなのでしょうか?

追記:実際にこの液体の中の原子がどうなっているのか気になり、計算をしてみました。
ヘリウムの「原子一個分の厚み」をファンデルワールス半径の二倍と解釈すると、それは0.28nm=2.8*10^(-10)mです。従ってこの厚さの薄膜1m^2の体積は2.8*10^(-10)m^3となり、その中にある1リットル当たり2gの密度の物体の質量は、5.6*10^(-7)gです。
一方へリウム3は1mol当たり3gの質量を満ちますから、アボガドロ数を6*10^(23)とすれば原子一個の質量は5*10^(-24)gで、従って1リットル当たり2gの液体ヘリウム3は、薄膜1m^2当たり1.1*10^(17)個、つまり1nm^2当たりでは0.11個の原子がある事になります。先ほどの原子半径からすると、原子直径を一辺とする正方形当たりの原子数は98.6*10^(-3)個となり、なるほどかなり希薄である事が解ります。


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