オグの第二惑星 (ペーテル・レンジェル:早川書房)

 しばらく前に紹介した「エデン」や「収容所惑星」と同じく早川書房の「海外SFノヴェルズ」に入っているハンガリーSF作品ですが、これは今回初めて読みました。ドイツ語からの重訳をしたのはペリー・ローダンシリーズの翻訳で有名な松谷健二さんで、特に会話部分の「である、です、だろう」といった文末助動詞が無い文体がペリー・ローダンそのままです。実の所、文体だけでなく内容もシェール等の作家に近い印象で、ペリー・ローダンシリーズの一話であっても恐らく違和感はありません。
 タイトルのオグの第二惑星とは、始めはてっきり物語の舞台のエーラの事かと思って読んでいましたが、実際には最初と最後にちらりと登場するだけの敵種族トルグの惑星でした。また主要部分の時代が2000年以上の過去だったのにもかなりびっくりしました。無気力に支配されていたエーラの人々が、過去の英雄時代から「帰還」したエリートたちに鼓舞されて極めて困難な大事業に一糸乱れず邁進するという展開は、良くも悪くもドイツSF的で、日本人の感覚とはかなり違うように感じます。
 衛星プロクロンを巨大宇宙船に仕立てて種族ごと他の恒星系へ大移動するというアイディアは壮大ですが、それが出来るならいっそエーラごと移動はできなかったのかなとも思いました。惑星が丸ごと消えると敵に気づかれるという理由なのでしょうが、それなら大型の衛星が消えた事で同様に逃走を察知されそうに思うのですが。
 敵種族トルグの姿は半機械生命体のようなものをイメージし、スーパーマンの敵ブレイニアクをハードSF的にした、あるいは巨大な動けないダーレク(ドクター・フーの宿敵)のような姿を想像しました。一つの個体が強力な力を持つために、種族として団結する事が出来ずに同士討ちを続け、最後は一体のみになって繁殖不能になるという結末は、圧倒的な知力を持つ種族にしてはかなり間抜けです。ハンガリーSFという事で、実は暗にソ連のイメージを重ねているのかも知れません。考えてみると、二体のトルグの関係は、スターリンとヒトラーという独裁者同士に似ているかも。
スポンサーサイト

テーマ:本の紹介 - ジャンル:本・雑誌

コメントの投稿

非公開コメント

プロフィール

X^2

Author:X^2
このブログは、旧ブログ
Babylon5以外のメモ
からの移転先として立ち上げました
。連動するホームページである
Babylon5 Episode Guide
にもどうぞ。

最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ
検索フォーム
リンク