DS9の三悪人 その1 Gal Dukat :神に翻弄された男

 このブログの一番古い記事「DS9の三悪人 その3 Kai Winn: 最悪の時代に指導者になった凡人」は、消えてしまった昔のブログのキャッシュから救出したものですが、その1, その2の記事は本当に消滅してしまいました。そこで今回は、過去に書いた内容を思い出しつつ、改めて消えた記事の再現版を書いてみます。
 Star Trek:DS9には多くの悪役が登場しますが、その中でもガル デュカット(Gal Dukat), ウエイユン(Weyoun)とカイ ウイン(Kai Winn)の三人はほぼ最初から最期までストーリーに関わり続けて主役たちと対立し、しかも悲劇的な最期を遂げるなど、強い印象を残しています。ここではまず、デュカットについて考察をしてみます。
 デュカットは宇宙ステーションDS9が未だカーデシアのものだった時の司令官かつベイジョー総督であり、撤退後にワームホールの出現によってステーションの戦略的価値が高まってからは、ステーション近辺に出没しては連邦の邪魔をする、典型的な敵役です。「ガル」というのはカーデシア軍の称号であり、それなりの地位にある訳なのですが、実の所必ずしも軍の主流派に属している訳ではなく、むしろ非主流派の悲哀を漂わせています。特にベイジョー人女性との娘ジアルの存在が明らかになってからは地位を失い、民間貨物船の船長に落ちぶれながらもその原因であるジアルを変わらずに慈しみ続けるなど、その頃の彼には連邦やベイジョーとの和解が成立するのではという雰囲気がありました。
 しかしカーデシアがドミニオンに加盟してから、デュカットの地位は一変します。恐らく以前からドミニオンと密かに交渉していた彼はカーデシア政府の首班となり、やがて始まった惑星連邦とドミニオンとの戦争を指揮して連邦特にDS9司令官のベンジャミン・シスコと全面的に対立する立場になります。そしてガンマ宇宙域からの援軍を阻んでいた連邦によるワームホールの機雷封鎖を解除して勝利を目の前にしながら、ワームホールの預言者による介入によってその勝利を帳消しにされ、さらにジアルも失って正気を失って連邦に捕らえられます。
 その後再び表面上は正気を取り戻した彼は、やがてパーレイスに憑依されて預言者の「選ばれし者」であるシスコと最期の戦いを交える訳ですが、ここで私が問いたいのは、特にドミニオン戦争での彼の行動に関して、彼は間違っていたのかという点です。クリンゴンの侵略を制止してくれない連邦に義理を立てる理由はカーデシアにはなく、逆にドミニオンに加盟した事で実際にクリンゴンはカーデシア領内から駆逐されました。そしてデュカットが指導者であった時期にはドミニオン内でカーデシアは重要な役割を果たし、後のダマール時代にように軽視される事はありませんでした。また連邦との戦争においても、局所的なミスはあったにせよ大局的な戦略は決して間違っておらず、実際に「神による介入」が無ければドミニオンは連邦に勝利していたと思われます。もちろんその後ドミニオンがそのままカーデシアを尊重し続けてくれたかは疑問ですが、そのぐらいの事はデュカットも想定したはずで、恐らくドミニオンを追い出す何らかの策を用意していたのではないでしょうか。
 このように見ていくと、少なくともカーデシア人にとってはデュカットは救世主だった訳で、シスコらの糾弾は「勝者の裁き」しかも本当は負けていたのに神の力で勝った側の論理でしかないと思われます。そう考えると、最期のパーレイスの憑依も含めて、彼は正に「神に翻弄された」としか言いようがありません。
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テーマ:テレビドラマ - ジャンル:テレビ・ラジオ

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デュカットですかー、そう考えると彼もなかなかの傑物だったんですねぇ
劇中でも嘆いてましたよね、占領時代にベイジョー人のための施策を実行したのに恨まれるばっかりだったって。
で、とどめが「神の介入」だと。
嗚呼、いと哀れ(^^

> 占領時代にベイジョー人のための施策を実行したのに恨まれるばっかりだったって。

どこかの国とその隣国との関係を思い出してしまいますね。まあ惑星連邦から見た歴史劇なので、その流れに反する者は皆悪人に書かれてしまうのは必然なのですが。少なくとも後継者ダマールよりははるかに傑物だったと思いますね。
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