Star Trekにおける気が付きにくい翻訳ミス (yonetch workの紹介)

 アメリカのTV Sci-FiドラマStar Trekの日本での放送は、基本的に全て日本語吹き替えで行われており、当然ながら台詞は英語から日本語に翻訳されています。そのため、ある意味必然ながら翻訳ミスも結構あり、さまざまなサイトで指摘されたりネタにされたりしています。特にyonetchさんによる次のページには、誤訳解説がまとめられています。スタトレファンyonetch
挙げられている誤訳には、解りやすい(つまり聴いていて「これは誤訳だろう」と想像がつく)ものも多いのですが、一方でドラマを聴いていても気が付かないが重要な誤訳も存在します。ここでは、yonetchさんのページから引用しながら、そのような誤訳を3つ紹介します。
1. 「ヴォイジャーは3年4ヶ月前から行方不明となっています。」 -- VOY シーズン4 "Message in a Bottle"

Delta宇宙域に飛ばされて彷徨っていたVoyagerが、ついに惑星連邦との連絡に成功する重要な回であり、Prometheusに送られていたDoctorがVoyagerに戻ってきて艦長に地球側の認識を報告した台詞です。一見すると何の問題もないように思えるのですが、元の台詞は "Apparently, Voyager was declared officially lost 14 months ago. "ですから、「3年4ヶ月前」ではなく「1年2ヶ月前」の誤訳です。
 まず、なぜこのように誤訳されたのかですが、恐らく"fourteen"を"forty"と聴き間違えたのでしょう。このパターンの誤訳はかなり頻繁に見られるようです。奇妙なのは、この誤訳の方が一見筋が通っているように見える点です。多くの海外ドラマに見られるように、StarTrekでも「1シーズンにおけるドラマ内時間が1年」という法則が成り立っており、従って第4シーズン前半のこの話は第1話でVoyagerがDelta宇宙域に飛ばされてから3年強後ですから、「3年4ヶ月」はぴったりのように見え、むしろ14ヶ月が間違っているように見えます。
これは恐らく次のような事情でしょう。Voyagerがバッドランドで消息を絶ったのは3年以上前だが、「公式に失われた」つまり難破した事が宇宙艦隊によって公式に宣言され船籍を外されたのは14ヶ月前だった。考えてみれば現実世界でも同様でしょうが、事故等で遺体が見つからずに行方不明の場合、どこかで法的には「死亡」扱いにしなければいけない訳で、それが恐らく消息を絶ってから2年後だったと思われます。

2.「オカディアでのクーとの戦い」 --- DS9 第4シーズン"The Sword of Kahkess"

DS9に現れた老クリンゴン戦士Kangを見つけたWolfが、彼の功績を賞賛したときの台詞です。私がこの回を観ていた際には、これまで紹介された事はないがKlingonでは超有名な何かの事件を指しているのだろう、と聞き流していたのですが、実は元の台詞は以下の通りです。"Your confrontation with Kirk on Organia"
つまりTOSの"Errand of Mercy"の事件そのものに他なりません。脚本家がオールドファンを喜ばせるために仕込んだクロスオーバーネタを、誤訳によって台無しにした訳で、かなり罪が重いです。

3. 「『...ベイジョーにはたくさんの星があります...』 次読めないよ。」
「システム」
「あ、『システム』か。」
「星の名前だよ。もうちょっとがんばろう。」
「『システムは...比較的重力が重い星です...システムは... 3つの月があります』?」
--- DS9 第1シーズン "Nugas"

やや長く引用しましたが、Nogと彼に教科書の読み方を教えているJakeとの会話です。「システム」とは惑星の名前としては妙だなと思っていたら、元の台詞は以下の通りでした。
" "...are four... teen, fourteen planets in the Bajoran s... s..." What's that word?"
"System."
"System."
"That was pretty good. Want to try some more?"
"The lar... largest planet is Bajor. It has... three... moons?"

つまり「星系」(太陽系)という意味の"System"を固有名詞だと誤解したための悲劇です。この教科書はケイコが基地内に開いた小学校のそれで、恐らくBajorの教科書をそのまま使っているのでしょう。従って当然Bajorについて書かれているわけです。確かに「星系」という単語は日常的ではないでしょうが、SFの翻訳をするなら基本中の基本単語です。"Solar System"を「太陽光発電装置」と訳してしまうようなもので、論外な誤訳です。この回は他にも"the impact perimeter"を「衝撃パラメータ」と意味不明な誤訳をするなど、翻訳者の単語力の無さ(大学生のアルバイトレベル?)が露呈しています。

StarTrekの誤訳といえば、例えば「ドミニオン」を「自治領」と訳しているなど有名なものも多いのですが、それらは基本的にファンならすぐに誤訳と気づくものなので実害はないのに対し、上のような誤訳は気が付かないまま「正史化」してしまう可能性もあり、反って厄介かもしれません。
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テーマ:テレビドラマ - ジャンル:テレビ・ラジオ

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X^2さん、ごぶさたしてます、そして、記事のご紹介ありがとうございました。

春先のTASによるリハビリもむなしく、また更新が途絶えているウチのサイトですが、
現在上映中の新作映画の感想ぐらいはなんとかと考えています
(まだ見てないんですけど^^;)

またお邪魔させていただきますね。
では。

yonetchさん、コメントをありがとうございます。しばらくばたばたしていて、このブログも更新できない状態で放置していました。私も最近になって、STの新作映画を見ることが出来ましたので、その感想記事もそのうち書きたいと思います。
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