ナサリン (ルイス・ブニュエル監督:メキシコ映画)

 「ビリディアナ」、「砂漠のシモン」と共に、ある意味でキリスト教を(批判というより)揶揄している作品です。19世紀のスペイン作家ぺレス・ガルドスの小説の映画化という事ですが、原作小説を読んでいないのでどの程度忠実なのかは解りません。ナサリンとは主人公の純真な神父の名ですが、明らかに「ナサレのイエス」を連想させる名前であり、「イエスが現在(と言ってもすでに結構昔なのですが)に蘇ってその教えを実践したらどうなるか」がテーマとなっています。
 貧しく無知な人々と共に暮らして彼らを救おうとするナサリンの行動は常に空回りあるいは逆効果となり、物事は常に悪いほうにと転がって彼は社会からも教会からも非難を浴びる結果となります。実際彼の行いは理想主義すぎるだけでなく多分に軽率でもあり、彼を非難する側は権威主義ではあっても必ずしも間違っていないのですが、ブニュエル自身は必ずしも主人公の行動を否定しているわけではない様に見えます。
 個人的に興味深かったのは、ナサリンの周囲の女性たちのキリスト教感です。彼をキリストの再来かのように崇める彼女らの信仰は、恐らく土着の宗教とキリスト教が渾然一体となったものであり、正統的なカソリックの教えとは遠く離れたものとなっています。ナサリン自身はそれに気づいて何とか正そうとするもののまったく受け入れられず、逆に自分の信仰を揺さぶられる結果となっています。たしか遠藤周作の「沈黙」において、日本のキリシタン信仰が実は本来のキリスト教の教えとはまったく異なるものになっている、というフェレイラ元神父の主張がありましたが、実の所中南米においても同様の状況なのではと、私などは想像しました。
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