砂漠のシモン (ルイス・ブニュエル監督:メキシコ映画)

 この映画は内戦後にスペインを逃れていたブニュエル監督のメキシコ時代最後の作品であり、製作途中で予算が尽きたために当初のシナリオを変更して40分強の中篇映画となっています。ネットでの解説では、主人公シモンは最後に悪魔の誘惑に負けたという事になっているのですが、実際のところそうなのでしょうか?確かに彼はディスコで悪魔と酒を酌み交わしてはいますが、ダンスに加わる事はなくその場に居る意味も感じていないようだったので、悪魔が誘惑に成功したとは思えないのですが。なお、シモンのモデルは5世紀に実在したシリアの登塔者聖シメオンですが、伝承ではあのように搭上に立ち続けていたわけではなく、塔の上の小屋に住んでそこで神に対する祈願を続けたとされています。
 シモンが砂漠の塔の上で苦行しているのは確かにはるか昔の時代として描かれているのですが、彼を誘惑する悪魔はセーラー服にガーターベルト姿でお色気攻撃を仕掛けたり、最後には上空に現れた飛行機と共に悪魔に連れられてニューヨークのディスコに現れたりとハチャメチャな展開に仰天させられます。しかし考えてみると、何人もの画家が取り上げている「聖アントニウスの誘惑」の悪魔の描写もかなりハチャメチャな訳で、「泰平ヨン」にあったように現代風俗を昔の画家が見たら、正にそれらの絵画の描写のように描かれるかもしれません。
 一方で、彼が起こした奇跡によって切り落とされた両手を取り戻した男がその手で行ったのは娘を叩く事だった、という展開は、「ナサリン」や「ビリディアナ」でよりはっきり描かれている、善意の行いが却って悪い結果を生むパターンに見えます。尤もこの場合、シモン自身には男を助けてやろうという意図すらなかったようにも思えますが。
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