バッティングと(ダブル)ブッキング

 ネットの投稿欄や掲示板等でときどき、間違った意味で「ブッキング」という言葉を使っている書き込みがあります。どういう訳かしばしばそのような書き込みに限って「ブッキング」を連呼しているので読んでいていらつくのですが、考えてみると実際の会話でこの間違いをしている人に、私自身は会った事がありません。今回これに関して少し調べているうちに、私自身も別の勘違いをしていた事を知りました。
 まずネットで検索してみると、この間違いは「ダブルブッキング」の「ダブル」を間違って省略したものとしている解説が見られますが、私にはそれはちょっと信じられません。ダブルを省略したら意味が通らないですし、そもそもこの手の間違いをしている書き込み主は「ダブルブッキング」という言葉自体を知らないでしょう。それよりも「バッティング」という言葉のつもりで「ブッキング」と書いているという説の方がはるかに自然です。しかしさらに考えてみると、「バッティング」と「ダブルブッキング」もまた意味が違っていて、本来は使い分けられるべき言葉です。
 「バッティング」の主体は二つ(以上)の約束等であるのに対し、「ダブルブッキング」の主体はその二つの約束を交わした人物の方です。具体的な例で言えば、恋人からの一日デートのお誘いの日が、それ以前に友人と遊びに行く約束をしていた同じ日にぶつかったという状態が「バッティング」であり、この両立しない約束をどちらも断らずに放置しておくのが「ダブルブッキング」という訳です。「バッティング」自体はその人物に責任はなく、またどちらかを断ればとりあえず問題は回避されるのに対し、「ダブルブッキング」は悪意あるいは優柔不断による怠慢の結果であり、ネット上の相談投稿等で相手を罵っているのは多くの場合こちらです。
 それで私の勘違いなのですが、実は「バッティング」を"batting"だと思っていました。もちろん「バッティング」が「二つのものがぶつかる」という意味である事は理解していたのですが、それをバットとボールがぶつかるのと同じ状況で捉えて居た訳です。ところが調べてみて解ったのが、正しくは"butting"であり、「頭で押す、ぶつかる」という意味の"butt"という動詞の現在分詞だった事です。そもそもこんな動詞があること自体知りませんでした。ボクシングでたまに「偶然のバッティングによる負傷」という表現を見ますが、正にこれですね。
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