ロト詐欺サイトにおける「大数の法則」の誤用

 ごく最近にもまた、ロト6の当り番号を教えるという詐欺に引っかかって大金を取られた被害がニュースになっていましたが、ロトを始めとする宝くじ系の詐欺には二種類あり、しばしばニュースになるのは「当り番号を事前に教える」というものです。もちろん実際には既に出ている結果をいち早く入手した詐欺師がそれを知らないカモに教えて信用させるという、いわば情報伝達の時間差を利用した詐欺です。一方でインターネット上で目に付くのが、「必勝法を教える」という別タイプの詐欺です。
 宝くじの場合、期待値を計算すれば明らかなように、公正に運営が行われているならば必勝法は決して存在しません。もちろんサッカーくじなどの他のゲームの勝敗を当てるくじの場合は、そのゲームでいかさまが行われている可能性が否定できない上に、競馬でのハルウララ現象で典型的に見られたような「市場の歪み」が存在するので話が違うのですが、それでも売り上げからの控除率が通常の賭博よりもはるかに高いので長期的に勝つのは困難を極めます。ロトの場合は単純に数字を抽選するだけなので、抽選の過程でいかさまが行われていないならば単純な確率の問題となります。
 さすがに確率の問題であるという点は多くの人が理解しているために、詐欺サイトの必勝法でも「必ず当たる」というものはほとんど存在せず、見かけるのは「一回一回の結果は偶然によって決まるが、長期的には統計法則に支配されるのでそれを利用すれば長期的には必ず勝てる」という記述です。その「統計法則」に関する議論はしばしばかなり複雑な内容が書かれているのですが、どのサイトでも突き詰めると以下のような議論となります。
 例えば当りと外れの確率が共に1/2であるくじを引き続けた場合、大数(「たいすう」と読む。「だいすう」ではない。)の法則によって長期的には当りがでる回数と外れの出る回数とはほぼ等しくなる。そのため外れが多く出続けている場合、しばらくすると流れが逆転して当りが多く出るようになる。
 上の議論は大数の法則に対する典型的な誤解に基づくもので、実際には当り外れの回数が偏っていてもその後の当たり外れの出やすさは等しいままです。それが大数の法則と矛盾しないのは次のように考えれば解ります。
 例えば最初の100回で当りが40回、外れが60回で出ていたとします。大数の法則によれば、非常に多くの回数くじを引けば、当りの回数は引いた回数の半分に近づく、つまり当りの回数を引いた回数で割った値は1/2に収束します。(厳密に言えば、現代確率論の大数の法則ではそれすら確実には言えない、つまり「1/2に収束する確率が1である」事しか言えないのですが、ここではそこには触れない事にします。)
 そこで最初の100回の後でさらにn回くじを引き、そのうちm回が当りだったなら、総計での当りの回数を引いた回数で割った値は(40+m)/(100+n)ですが、注意すべきはm=n/2つまり100回目以降に引いたくじの半分が当りだった場合ででも
この値は(40+(n/2))/(100+n)=(80+n)/(200+2n)となり、nが大きくなった極限値は1/2となる点です。つまり当り外れが100回目以降も均等に出る事は、大数の法則と矛盾しないのです。
 実際には偶然によって一旦どちらかに結果が偏った場合、長期的にその偏りが逆転する確率はかなり低い事が確率論では証明されています。(逆サイン法則)つまり始めに書いた大数の法則の誤解は、実際に成り立たないのです。
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