銀河の破壊者 (セルゲイ・スニェーゴフ著:創元推理文庫)

 1962年に書かれたソ連のスペースオペラ三部作「神のごとき人々」の第一巻で、piaaさんのブログで知って興味を持ち、このほど図書館で借りて読んでみました。日本での出版が1983年となっており、確かにこのタイトルとカバー絵になんとなく見覚えがあります。ちょうどこの頃から私自身がSF離れしていたために、これまで読むことがなかったのだと思います。カバー絵だけでなく内容的にも、現在読むのは正直なところやや気恥ずかしく感じてしまうベタなスペオペなのですが、アメリカのそれとはまた違う味わいがあります。
 出だしからいきなり騎乗用の空飛ぶドラゴンやペガサスが登場するところは、ストルガツキー兄弟の「月曜日は金曜日に始まる」を連想させますが、この世界の有様はむしろエフレーモフの「アンドロメダ星雲」のそれです。それは特に天候制御をはじめとする地球の状態に現れており、手放しの科学技術麗賛振りには今読むと相当の違和感を覚えます。それだけでなく、「保護機」や「万能機」によって完全に安全を保障され制御されている社会というのは、「1984年」や「われら」並みの超管理社会と本質的にあまり変わらないのでは?
 人工惑星(というより超巨大なプラットフォーム)オラとそれを照らす人工太陽や、第一章のタイトルにもなっているベガから来た「蛇族」の女性すみれ(実際の名前ではなく、主人公のエリがそう呼んでいる)はなかなか魅力的なのですが、残念ながら彼女はヒロインとなるわけでもなく、本筋にはまるで絡んできません。むしろ有翼種族エンゼルの大公と自称しているトルプの方が「愛すべき脳筋」的な役割で役割を果たしています。また、人間側の登場人物たちがあまり魅力的でないのは大きな欠点です。ロメロの方は敵役というか「普遍的な人道主義」へのアンチテーゼとして描かれているので当然なのですが、艦隊副官のレオニードの軽薄ぶりはかなりいらいらさせられました。
 一方で敵種族の「破壊者」の正体は今一つはっきりしないというか、アンドレイを拉致したものとヘッドアイとは同じ種族の別の姿なのでしょうか?重力を自在に操れる能力というのは非常に強力ですが、それに対する地球側の「ターネフ消滅」の威力もものすごく、「スターキング」に登場する空間破壊兵器ディスラプターに匹敵します。piaaさんも書かれている通り、歴史的に地球文明にはるかに先行している割には破壊者種族が大したことがないのですが、第一巻では実際には姿を見せない「銀河人」種族との手詰まり状態の中で停滞を続けていたのでしょうか。この辺の事情は、第二巻を読むと解決するのかもしれませんが。
 訳語の問題ではなくおそらく原作がそうなっているのでしょうが、「ペルセウス座」という言葉の使い方にかなりの違和感があります。星座はあくまで地球から見て偶然同じ方向に存在している星の集まりであり、必ずしも空間的にまとまっている存在ではないので、「ペルセウス座」と書かれている部分の多くは「ペルセウス二重星団」という表現をすべきでは。
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