逆時間の環 (セルゲイ・スニェーゴフ著:創元推理文庫)

 「神のごとき人々」三部作の最終巻は1974年の作品で、前作「ペルセウス座進攻」が書かれてから10年後とかなり間が空いています。作品内の時代も前作から数十年経っており、主人公エリだけでなくその他の主要人物も老人となったりすでに亡くなったりして、その代わり彼らの子供たちが加わった探検隊が、銀河系中心に居るという超種族ラミール人の調査に向かいます。
 piaaさんのレヴューでは前二作と比較してこの第三作を酷評されており、実際前作までのスペオペならではの軽快さはまったく無く、銀河中心領域に入ってからはほとんど話が進まなくなって重苦しい話になっています。それどころか主人公は味方の中にラミールのスパイが居るのではと疑心暗鬼に駆られ、すべての乗員が異常行動を取るようになる展開は、完全な手詰まりになった状況ではある意味現実的なのかもしれませんが、読んでいて面白いものではありません。最終的には、ラミールは地球人を含む他の種族はほぼ眼中にもなく興味も無いらしい事が推測されるという、ストルガツキー兄弟の「ストーカー」的な結末になるのですが、スペオペでそのような展開は誰も望んでいないのでは。
 ただ、この作品が書かれた時代のソ連はブレジネフ政権下であり、60年代のある意味能天気なイケイケ時代とは逆の、重苦しい停滞の時代です。おそらく前作との違いはこの辺にあり、作者も前作までの能天気さから方向修正してより重厚な内容を目指したものの空振りしたというとことなのかもしれません。
 それからデミウルグ人(破壊者)のエロンに恋をして遂には身を滅ぼしたイリーナですが、私自身はpiaaさんよりも好意的に捉えています。もちろん彼女の行為や反抗的態度は探検隊の使命を妨害する形となっているのですが、同時に極めて人間的(もちろん、非人類に恋する事自体は「人間的」とはちょっと違うでしょうが)です。ソ連の教条主義に則った全体主義的規範とは相容れないものですが、そのような主要登場人物をあえて登場させたところに、その教条主義に対する作者の違和感が見て取れるように思います。
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