バンヴァードの阿房宮 -- 世界を変えなかった十三人 (ポール・コリンズ著:白水社)

 副題にあるように、「世界を変える発明・発見」の主人公になり損ねた人々を紹介する内容で、当然ながら現在ではほぼ無名ながらその時代には一世を風靡した人物の列伝です。訳者あとがきや、ネット上での書評でも同様の考察が書かれていますが、私自身がこの本を読むまで知っていたのはせいぜい空洞地球とN線、偽台湾人の話だけで、そのうちで主役の名を(辛うじて)知っていたのはN線の「発見者」ルネ・ブロンゾだけでした。ところでこのN線騒動に関して、あとがきやネット上の書評ではSTAP細胞事件とそっくりだと書いているものが多いのですが、実際にはどうでしょうか?もちろんどちらの事件も、「世紀の新発見」が跡形も無く消えたという点では同じですが、STAPの方はかなり明確な悪意(でっちあげ)があったのに対して、N線の方は観測限界ぎりぎりの現象を誤認したという面が強いように感じます。ブロンゾがその時点ですでに有名な学者であったためにかなりの間信用され続け、その観測も彼のグループだけではなかったのに対し、STAPの方は発見者自身はほぼ無名で、他の実験者はまったく追試ができない状態でしたからかなり違います。むしろシェークスピアの贋作を作り続けたアイアランドの方が精神的には近いかもしれません。
 取り上げられている13人のうち、アイアランドと「偽台湾人」サルマナザールは完全に詐欺師なのですが、他の11人はむしろ善意の人です。そのうちブロンゾ、シムズ、ブレゾントン、ディックとベーコンの5人は本人の理論が完全に間違っていた訳なので、歴史の審判に耐えられないとして、残る6人は今後再び脚光を浴びる日が来るかもしれません。特に惜しかったのは空圧地下鉄道のイーライ・ビーチで、大恐慌にぶつからなければ現在の交通機関はこちらの発展形になっていたかもしれません。また、バンヴァードの動くパノラマは、現在でも十分に売り物になるのでは。
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