今年の天文関係新発見2題:カリクローの環と最短周期彗星

 久々の天文ネタは、2015年度の天文年鑑を眺めていて知った二つの新発見ニュースです。

1. 土星、天王星の環は有名ですが、その他にも木星さらには海王星にも部分的ながら環が存在し、巨大惑星には環の存在がかなり普遍的であるように思えます。しかし今回環が見つかったカリクローは、土星軌道と天王星軌道の間を約63年で公転するはるかに小さな天体です。分類としては小惑星ですがその中でもケンタウロス族と呼ばれるグループに属しており、ケンタウロス族中最大の天体(直径258km)とされています。このケンタウロス族は、海王星軌道の外にあるエッジワース・カイパーベルトから太陽系内部に落ち込んでいく途中の天体と考えられており、その軌道は長期的には不安定でいずれは短周期彗星になるかそれとも太陽系外に弾かれたり惑星に衝突したりして消える運命にあります。
 カリクローの環は、2013年6月3日の掩蔽(恒星の食)の南米での観測によって発見されました。カリクロー本体による食の前後に短い減光が観測され、それが環によるものと確認されたのが今年の3月26日となります。環は二重であり、内側の環は半径391kmで幅が7km, 外側の環は半径405kmで幅が3kmと見積もられています。この種の細い環が存在するという事は、天王星と同様に環の両側を回る羊飼い衛星も存在する可能性が高そうです。
2. 周期彗星といえば周期76年のハレー彗星が最も有名ですが、実際には多くの周期彗星はかなり周期が短く、10年以下の周期の彗星も珍しくありません。これまで長年に渡って最短周期彗星だったのは、周期3.30年のエンケ彗星でした。この彗星がはじめて確認されたのは1786年で、その後も何回か観測されましたが別々の彗星と思われていました。1822年になってヨハン・フランツ・エンケの軌道計算によってそれらが同一の彗星である事が明らかになり、そのためにエンケの名がついています。実は最初の発見者以外の名が付いている彗星は、このエンケ彗星とハレー彗星の二つだけです。
 さて、Pan-Starサーベイによって2013年8月15日にうお座で発見された新彗星は、その周期が3.24年とエンケ彗星を凌いで最短周期を持つ事がわかりました。ただこの彗星は非常に小さいもので、発見時の明るさは20等級と、肉眼は愚か大型望遠鏡でなければ観測ができないレベルであり、エンケ彗星とはかなりの差があります。またその軌道離心率も0.12と小さく、そのため近日点距離が1.94AUと火星軌道と木星軌道の間を円軌道に近い軌道で公転しています。
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