7万年前に太陽系に1光年以内まで接近していた恒星

 2013年に発見された極めて暗い赤色矮星WISE 0720-0846(通称ショルツ星)が、その後の固有運動の測定によっておよそ7万年前に太陽系に0.82光年まで接近していた事が判明しました。7万年前に大接近、オールト雲まで迫った「ショルツ星」
 実際にはショルツ星はスペクトル型M9の赤色矮星とT5の褐色矮星との連星系ですが、非常に暗いため、最接近時でもわずかに10等級であり、肉眼で見ることはまったく不可能でした。現在では太陽系から20光年程度離れており、視等級は18.3等となっています。この連星は非常に高い確率で太陽系のオールト雲の中を通過しており、その結果オールト雲から長周期彗星が太陽系内にはじき出された可能性がありますが、その場合でもそれらが実際に太陽近傍までやってくるのははるか未来の事となります。
 なお、他の恒星がこの程度の距離まで太陽系に接近する事は、天文学的時間単位ではそれほど珍しい事ではありません。もっと以前から知られていた例では、K型主系列星であるGliese710は、136万年後に太陽からおよそ1光年まで接近し、そのときには1-2等星として見えるはずです。ショルツ星のような暗い赤色矮星や褐色矮星なら、恐らく他にも知られないまま太陽系にかなり接近した例があったものと思いますが、いずれにせよ太陽系にはほとんど影響はありません。
追記:昨晩この話題をAstroArtsで読んで、数日前にニュースまとめサイトでちらっと見た見出しが恐らくこれだったのだと思い当たりました。しかしその見出しは、「7万年前に宇宙最大の危機」といったもの(ちらっと見ただけなので、正確な表現を覚えていません)で、どう見ても実際の内容とあっていません。実際それをみたときに、そんな馬鹿な話があるはずないと思ってそのまま見過ごしていたのですが、ニュースまとめサイトの見出しはこの手の大げさで歪んだものが多いと感じます。見出しに引かれてクリックを誘うためなのでしょうが、さらにその見出しがそのまま引用されて、歪んだ内容が二次的に拡散しているのが、現在のネット世論を生んでいるのでしょう。
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