眠らぬ人 -- ワグナー教授の発明 (アレクサンドル・ベリャーエフ著:未知谷)

 「ドウエル教授の首」に続くベリャーエフ作品の紹介ですが、こちらの方は子供時代も含めて読んだ記憶がありません。中短編4話からなる連作で、特に最初の2話は内容的にもかなり連続しています。所謂マッドサイエンティストであるワグナー教授の驚くべき発明とそれによって起こる事件を描いた作品ですが、考えてみると「ドウエル教授の首」も含めてベリャーエフのほとんどのSF小説は広義のマッドサイエンティストものに分類されるように思います。
 前半の二話「眠らぬ人」と「本棚からの訪問者」は、彼の発明の価値を見抜いたドイツの秘密結社にを誘拐監禁されたワグナー博士がそこから逃げ出した際の騒動を描いていますが、そこで取り上げられる博士の発明の内容はもちろん現代科学の目で見ればまったくあり得ないながら、当時としてはそれなりに科学的な考察がされたものです。ところで「本棚からの訪問者」で博士が監視役の気をそらすのに使ったミニチュア宇宙は、エドモンド・ハミルトンの名作短編「フェッセンデンの宇宙」に先立つもののように思えるのですが。
 一方で残りの二話の内容はさらに荒唐無稽で、「泰平ヨン」に近いどたばたの展開あるいは「夢落ち」です。この「夢落ち」はSFとして読んでいるとかなり白けるので避けるべきだと思うのですが、これは著者紹介にあるようにソ連国内で「荒唐無稽である、非科学的である」との批評にさらされた結果の妥協の産物なのでしょうか。この「ワグナー教授もの」は同じ未知谷から「アフリカの事件簿」という作品が出版予定との事なので、こちらもそのうち読んでみたいものです。
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