アフリカの事件簿 -- ワグナー教授の発明 (アレクサンドル・ベリャーエフ著:未知谷)

 少し前に紹介した「眠らぬ人」の続編というか、マッド・サイエンティストのワグナー教授の突拍子もない発明を描いた作品です。実際には、「空飛ぶ絨毯」、「悪魔の水車小屋」の短編二編に、「アフリカの事件簿」というタイトルでくくられた連作中篇二編「アムバ」、「ホイッチ - トイッチ」の合計四編が収められています。
 「アムバ」は、事故によって死亡した人間の脳だけを取り出して生かし続ける、というある意味「ドウエル教授の首」と似た発想の作品ですが、そちらのような深刻さはない、もっとほら話めいた陽性な展開です。その取り出された脳は成長をし続け、もはや人間の頭蓋骨には納まらない大きさにまで大きくなった結果アフリカゾウに移植され、その人間の脳を持つゾウの物語が「ホイッチ - トイッチ」となります。こちらの方はさらに、サーカスから逃げ出して騒動を引き起こす前半の展開と、それ以前にワグナー教授の元から行方をくらましてアフリカを彷徨っていたときの話の二つに分かれ、後者はSFというより同じ作者の「髑髏蝶」を連想させる冒険譚です。
 個人的にツボにはまったのが、「悪魔の水車小屋」です。話のそのものは死者の肉体の一部をそのままの形で疲れを知らない「労働者」として生かし続ける、というある意味グロテスクな内容なのですが、粉挽き機を動かし続ける箱の中の「手」を発見したときの村の当局者たちの大真面目な言動が、「トロイカ物語」や「巨匠とマルガリータ」での同様の会話を連想させるもので思わず噴き出してしまいました。この状況で「市民!箱から出てきなさい!」とか、「労働法違反だな」とは、ある意味ソ連ならではでしょう。ただ、この短編も「眠らぬ人」と同様に取ってつけたような興ざめな「解説」が最後に付け加えられています。やはり当局からの「非科学的である」という批判をかわすための処置だったのでしょう。
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