ある遭難者の物語 (ガブリエル・ガルシア=マルケス著:水声社)

piaaさんのレヴューを読んだ直後にたまたま図書館で見かけて借りてきました。
 黒潮に流されて数ヶ月漂流とか、孤島に流れ着いて数年間生き抜くといったもっと凄まじい話に慣れている日本人としては、カリブ海を救命いかだで10日間漂流して田舎の海岸に漂着、というレベルの漂流記は、飲まず食わずで漂流した本人にとっては壮絶な体験であるにしても読者としては正直物足りないなあ、と思って読み進めていましたが、最後まで来てなるほどと感心しました。生還譚を体制の宣伝に使える間は英雄扱いされたが、その宣伝が真実でない事を暴露すると一転して国賊扱いというのは、当時のコロンビアのような独裁国家ではなくても有り得る話です。恐らく現在の日本ですら、ある意味似たような事は起こっているのではないでしょうか。
 piaaさんも書かれているように、この作品はルポルタージュと小説との中間に位置するもので、現実に起こった事件を作家ガルシア=マルケスが独自の解釈・変更をして書かれたものです。ただ少なくとも、この事件を報じた新聞「エル・エスペクタドール」が政府によって廃刊に追い込まれ、その記者だったマルケスが職を失ってヨーロッパで極貧生活を送る羽目になったというのは書かれているそのままとの事です。そこで書かれた「大佐に手紙は来ない」が彼の始めて発表した小説という事を考えると、この事件は作家ガルシア=マルケスが生まれるきっかけとなったといえるのかもしれません。
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