スウェーデンの騎士 (レオ・ペルッツ著:国書刊行会)

 私にとって四冊目となるレオ・ペルッツの小説ですが、これまでで最もおとぎ話めいた作品でした。舞台は18世紀初頭のシレジア地方で、スウェーデンのカール12世とロシアのピョートル1世とがバルト海の覇権を掛けて争った北方戦争が背景となっています。関係者の手記の内容が物語の語り出しになっているのは「ボリバル侯爵」と共通していますが、こちらの方では幼い娘から見た半ば幻想のような回想の真相を解き明かすという形で物語が展開していきます。
 主人公が定められた運命に逆らえずに流される展開は「第三の魔弾」と同様なのですが、正常な意識のあるうちは運命に逆らおうとし抗い続けたグリムバッハに対して、こちらの主人公は一旦悟った後は過酷な運命を受け入れてしまいます。それは特に、赤毛のリーザによって額に焼き印を押された後に顕著で、おそらく傷を隠して生きる事が可能だったにも関わらず、宿命を悟るかのように僧正の奴隷労働に自ら向かって、結果として嘗て運命を盗んだ相手と再会する事になりました。
 一方でその相手のトルネフェルトが、自分を奴隷労働に追いやった相手を特に恨んでいる様子がないのはやや不自然に感じます。ただこれは、地獄のような労働の結果、彼が嘗ての甘ちゃん貴族とは別人のような悟りを開いた結果なのでしょう。実際のところ、もし彼が運命の入れ替わりなしで直接カール12世の下に向かったとしたら、戦場でなんの功績も上げられず犬死した可能性が高そうです。
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