ニルスのふしぎな旅 (セルマ・ラーゲルレーヴ著:偕成社文庫)

 「ニルスのふしぎな旅」(Nils Holgerssons underbara resa genom Sverige)は1906-1907にスウェーデンの女性作家セルマ・ラーゲルレーヴによって書かれた有名な児童文学であり、1909年にラーゲルレーヴが女性として初めてノーベル文学賞を受賞したのは、代表作「エルサレム」だけではなくこの作品の存在も大きかったと思われます。 「ニルスのふしぎな旅」は世界の多くの国で紹介されており、日本でも翻訳だけでなく1980年にTVアニメーションが放映され、多くの日本人は恐らく原作よりもこちらの方で物語を知っているのではないでしょうか。しかしこの作品が、スウェーデンの小学校における地理の副読本として書かれたという経緯はそれほど知られていないようです。
 実際、ニルスの旅はスウェーデン最南部スコーネ地方から始まり、南東部から首都ストックホルムを経て最北端のラップランドまで行き、そこからノルウェー国境近くの山岳地方を通って再びスコーネに戻るという、スウェーデン全土を一周する経路であり、各地方でニルスが出会った様々な風習や地方の歴史・民話の紹介が物語の主題となっています。私自身、スウェーデンには何回か旅行して、ニルスの旅した地方もいくつか訪問しているので、地理の副読本として書かれたという経緯を知って興味を持つと同時に懐かしく感じ、子供の頃以来数十年ぶりにこの作品を再びじっくりと読んでみました。
 実際に書かれたのは今からちょうど一世紀ほど前なので、言ってみれば一世紀前のスウェーデン各地の自然や人々の生活を現在と比較しながら読むような感じになります。一世紀経っても変わらないものや、大きくかわってしまったもの、さらには例えばヴェクショーの移民博物館展示のように、作中ではほぼ同時代として描かれている事が現在では歴史として博物館の展示になっているものなど、さまざまな物事があり、非常に興味深く感じました。
「ニルスのふしぎな旅」が執筆された経緯の詳細は、以下のリンクにある論文を参照してください。
地理読本『ニルスの不思議な旅』の成り立ち
論文といっても大学紀要に掲載されたものなので、普通に読める文章で書かれています。
 なお、ニルスの家がある西ヴェンメンヘーイ(Vastra Vemmenhog)ももちろん実在の地名で、スコーネ県のSkurup基礎自治体に属しており、Skurup駅から南南西に6kmほど離れた場所に位置しています。
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