東ロボ君と人工無脳

 人工知能として東大入試の突破を目指していた「東ロボ君」ですが、昨年の段階で私立大学の8割には合格できるレベルにまで到達したものの今年の成績はむしろ伸び悩み、東大合格という当初の目的は達成できないと結論されて計画終了となりました。実は、東ロボ君が試験に回答している方法を見てみると、その実態は通常考えられている「人工知能」とは遠く、むしろ「人工無脳」に近いもののように私には思われます。
 まず、世界史等の暗記科目に関しては東ロボ君は外部記憶の検索に頼っており、受験生にとっては「ふざけるな、完全なカンニングだろ!」と言いたくなる手法です。確かに歴史の年号その他の知識は演繹して得られるものではなく、知っているかどうかが全てなので、逆に検索以外に解答方法はなく、そのデータベースを自前で持つかクラウドにするかの違いにすぎません。その意味では、スマホを使って検索し放題という条件での試験でなければ、受験生と東ロボ君との勝負はフェアでないのですが、実はその勝負であっても人間は東ロボ君にかなわないようです。それは検索のスピードではなく、「正しい検索を行って必要な検索結果を得る」という事が実は多くの学生にとっては困難であるためです。
 一方で初めのうち東ロボ君が苦戦していた国語の長文読解ですが、昨年急激に成績が上昇したのはパターンマッチングによる回答アルゴリズムが成果を上げたためです。つまり問題の意味を一切理解せずに、「質問と似ている文章」を長文本文から見つけ出すという手法で正解が出せてしまう訳で、これは正に「人工無脳」が文章を作るアルゴリズムに近いものです。通常「人工知能」という言葉から想像する「意味を理解して演繹する」というものとは全く異なり、とても知能とは言えないものなのですが、結果的に知能があるのと同様の出力を得ている訳です。
 深刻なのは、このレベルの「人工無能」が受験生の平均よりかなり高い成績を上げている点です。つまり少なくとも大学入試で測れる能力においては、大多数の大学生のレベルは人工知能ではなく人工無能よりも下であるという事であり、我々はまずその点を驚くべきなのではないでしょうか。
スポンサーサイト

テーマ:宇宙・科学・技術 - ジャンル:学問・文化・芸術

コメントの投稿

非公開コメント

プロフィール

X^2

Author:X^2
このブログは、旧ブログ
Babylon5以外のメモ
からの移転先として立ち上げました
。連動するホームページである
Babylon5 Episode Guide
にもどうぞ。

最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ
検索フォーム
リンク