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インターステラー

 宇宙ものSF映画と言えば多くの人はスターウォーズに代表される「スペースオペラ」系を思い浮かべるでしょうが、この作品は「2001年宇宙の旅」や「ソラリス」などと同じく「正統的ハードSF」系の映画です。piaaさんのレヴューにもある通り、現在より数十年先(恐らく今世紀末?)という時代設定とワームホールを抜けたはるか遠方の宇宙という場所の設定によって、科学的間違いが目立たない映画に仕上がっています。
 序盤でのトウモロコシ畑を襲う砂嵐のシーンを観たとき、スタインベックの名作小説「怒りの葡萄」を連想したのですが、実際に冒頭とラストで老人たちが砂嵐のすさまじさを語るインタヴューは正に、1930年代にオハイオを中心とするアメリカ南部からカリフォルニアへの大量の国内難民を生んだ大砂嵐の経験者への実際のインタヴューとの事でした。そして「世界規模の気象災害で生活できなくなった人々が楽園を求めて遠い世界へ旅立つが、そこで待っていたのは楽園ではなかった」というこの映画の大枠そのものもまた、「怒りの葡萄」のそれと重なっています。
 人類を滅亡の淵に追い込んでいる異常気象や病害虫の蔓延は恐らく温室効果ガスによる地球温暖化を始めとする人間自身による環境破壊の結果と思われるのですが、この映画はそれを明示する事なく、科学技術に対する信頼という揺るぎない立場で一貫しています。もちろん冒頭で揶揄されているアポロ陰謀論などは論外ですが、宇宙開発を始めとする巨大科学プロジェクトの方が、果たして現在正に苦しんている人々を救おうとするより地道な活動よりも予算的や労力を優先すべきという主張は、個人的には疑問を感じざるを得ません。
 一方でpiaaさんのレヴューにもある通り、惑星表面での1時間が宇宙空間での7年に相当するというミラーの星の設定には、かなりの無理があります。素直に計算すれば重力による一般相対論的効果によって時間が6万倍に引き延ばされている訳ですが、通常サイズのブラックホールならそれだけの時間の伸びが出るほどに近づけば潮汐力によって惑星は破壊されてしまいます。銀河中心ブラックホールならば潮汐力に抗してもう少し時空の地平線近くに行けそうですが、それでも6万倍などという途方もない数字にはならないでしょう。そもそも惑星そのものがブラックホールとは違うので、惑星表面でも周回軌道上でもブラックホールからの距離はほぼ変わらないはずで、両方での時間の進み方に格段の差が出るはずがありません。一方でマン博士が惑星のデータを捏造していた件は、少なくとも地球からは判らなかったでしょうし、エンデュランス側もまさかと思って自ら詳しく観測はしなかったと考えればそこまで違和感はありませんでした。
 クーパーがブラックホールに突入して以降の「2001年」と同様に「超文明」の登場する展開はやや無理を感じましたが、マーフの救った人類に再会するという希望のあるラストシーンに持っていくためにはある意味仕方ないでしょう。ただマーフの宇宙コロニーは土星軌道上にある積極的理由があるのでしょうか?もちろんそこにあったからこそマーフとクーパーは再会できたので物語的には必要なのですが、コロニーがワームホールの向こう側と交流している様子もなかったですから、地球軌道あるいはその近くにとどまった方が資源利用的には良いのでは。
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