さらに太陽系に接近する事が判ったGliese710

 2013年12月19日に打ち上げられたヨーロッパ宇宙機関の天文位置衛星Gaiaは、1989年に打ち上げられたHipparcos衛星の後継機であり、太陽-地球系のL2ポイントの周りを周回しながら銀河系全体の星の1%に当たる10億個の恒星の位置と固有運動を5年間で計測する計画です。現時点ですでに200万個の恒星についてデータが得られていますが、当然の事ながらHipparcosによる観測よりはるかに精度が良く、その結果かなり以前に書いた記事で一度紹介したGliese 710が、135万年後に以前の予想よりさらに太陽系に接近する事が明らかになりました。
太陽から2兆kmまで近付く星、グリーゼ710
 驚いたのは、Hipparcosの観測では太陽に最も近づいたときの距離が1.1±0.58光年だったのが、新たなGaiaでの観測データによると0.24±0.09光年と以前の誤差限界よりもさらに近くなっている点です。地上からでは実現不可能なレベルの精密な恒星の位置・固有運動測定が可能というのがHipparcos衛星の売りだったのですが、意外にもかなりの誤差があった事になります。実はプレヤデス(すばる)星団の距離に関してもHipparcosによる計測に誤差があった事が指摘されており、これは衛星が計画されていた静止軌道に入れず、極端な楕円形であるトランスファー軌道のまま運用されていたのが理由なのでしょうか。また、この種の話では、初めの測定では極端に近づきそうだったのが後の精密測定の結果それほどでもない、というパターンが普通なので、その逆というのもかなり珍しいのでは。
 とにかく記事にあるように、ここまで接近すると完全に太陽系のオールトの雲の中を突っ切る事になり、以前に言われていたよりもはるかに多くの彗星を太陽系に降らせるでしょう。もちろんそれでもそれらの彗星が地球付近に到達するのはさらに数百万年先の長い期間に渡るので、地球には格段の影響はなさそうです。一方で最接近時にはGliese710の実視光度は-2等級を超えており、恐らく全天で最も明るい恒星として見えると思われます。
 ただ、論文を読む限りこれらの予想はそれぞれの恒星が現在の位置と固有運動から銀河系全体の平均的ポテンシャルの中を運動するという仮定で計算された結果です。実際には近くの恒星からの引力によってほんの僅かでも軌道がずれるでしょうから、それを計算に入れるとまた話が変わってくる可能性もありそうです。
スポンサーサイト

テーマ:宇宙・科学・技術 - ジャンル:学問・文化・芸術

コメントの投稿

非公開コメント

プロフィール

X^2

Author:X^2
このブログは、旧ブログ
Babylon5以外のメモ
からの移転先として立ち上げました
。連動するホームページである
Babylon5 Episode Guide
にもどうぞ。

最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ
検索フォーム
リンク