遂に役目を終えそうなキログラム原器

 数日前に報道されたニュースとなりますが、日本の技術総合研究所による「エックス線決勝密度法」によるプランク定数の精密測定によって、これまで国際キログラム原器によって定義されていた質量の単位の定義が改められ、キログラム原器はその役目を終える可能性が出てきました。フランス革命直後の18世紀末に決められたメートル法およびその拡張であるMKSA単位系、さらにはSI単位系において、単位の定義として最後まで原器の形が残っていたのが質量単位の定義でしたが、今回の成果によって十分正確に定められたプランク定数から質量単位が定義される事になれば、ついにすべての物理単位の定義において原器の役割がなくなる事になります。
 実は通常の学生実験レベルの測定では、化学天秤の精度が良いために長さ、質量、時間のうち質量が最も正確に測定可能な物理量です。しかしながら、より高精度が必要な測定に関しては逆に、恐らく重力が非常に弱い力である事が主な理由となって質量の精密測定が一番困難とされています。そのためこれまで、時間の単位が平均太陽年から特定の電磁波周期の継続時間に、また長さの基準がメートル原器から真空中の光が一定所間に進む距離へと変わっていったのに対して、質量の単位は最後までキログラム原器によって定義されていました。今回提案されている定義変更は、長さの2乗・質量/時間の2乗という次元を持つプランク定数からすでに定義されている時間と長さの単位によって質量単位を定義するというもので、これは長さ単位の定義と同様の方法です。この定義によれば、真空中の光速cと共にプランク定数hは絶対定数となります。
 SI単位系ではもう一つ、絶対温度の単位ケルビンの定義変更が議論となっています。現在の定義では水の三重点の熱力学温度の1/273.16として定義されています。もちろんここでの「水」の組成は別に厳密に決められているのですが、この定義では主に低温および高温では十分精密な計測ができないため、ボルツマン定数から長さ・質量の場合と同様にして温度単位を定義する案が提案されています。ただしこちらの方が決まるのはまだもう少し先の話になるようです。
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