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中高生に対する「リーディングスキルテスト」の結果

 日本の中高生のかなり多くが教科書や新聞記事の文章の意味自体を理解できていない事を示す「リーディングスキルテスト」の結果がしばらく前に報じられました。
教科書の文章、理解できる? 中高生の読解力がピンチ
 このテストに使われた中学社会科教科書の文章に対して、ネット上では「誤解の余地のある悪文であり、これでは文章読解力など測れない」という批判が多く挙がっています。しかしこの調査を行った国立情報学研究所の新井紀子教授のtwitter等を読んだり、また自分でもテストの内容を読み直してみれば、その批判は的外れである事が判ります。
 
例に挙がっている二つの問題のうち、主に批判の対象になったのは次の問題です。

 下記の文章を読み、メジャーリーグ選手の出身国の内訳を示す図として適当なものをすべて選びなさい。

 メジャーリーグの選手のうち28%はアメリカ合衆国以外の出身の選手であるが、その出身国を見ると、ドミニカ共和国が最も多くおよそ35%である。

 そしてこの後に、4つの円グラフがあり、そこから適当なものを選ぶ問題でした。どこが批判されたのかと言えば、「その出身国」の「その」がメジャーリーグ全体の選手なのか、それともそのうちのアメリカ合衆国以外の出身の選手なのかが、この文章ではあいまいであるという点です。教科書の文章自体はもちろん後者なのですが、確かに単にこの文章の構造だけを見れば、前者の解釈をする余地はあります。しかしながらもし前者の解釈をすると、アメリカ合衆国以外の出身者28%の中に、ドミニカ共和国の出身者35%が入っている事になり、数字的にあり得ず、図に書けない事が判ります。28%と35%の数字が逆なら両方の解釈が確かに可能ですが、この問題の状況では前者の解釈は不可能で、必然的に後者しかありえません。
 もちろん、上のように推論するのは単に文章の構造だけでなく、その意味まで理解する必要があり、さらに言えばドミニカ共和国がアメリカ合衆国の一部でないという知識が必要なので、確かに「文法のみから文章構造を理解して文章を解釈する」スキルを測るには適当ではないでしょう。しかし現実の世界で出会う文章ではそのようなスキルは非現実的であり、最低限の常識的知識を持った上で読んだ文章を理解する能力こそが必要なものです。実際、教科書の文章だけでなく、会社のビジネス文書や契約書さらに法律の文面なども、この程度の常識を前提としないのなら誤解の余地は大いにあるはずで、それらの文章の意図を理解できないまま学校を卒業して社会に出たら、その生徒は社会生活において極めて不利な立場に立たされる事になります。この点は二つ目の以下の問題でさらにはっきりしています。

「幕府は、1639年、ポルトガル人を追放し、大名には沿岸の警備を命じた」という文と、「1639年、ポルトガル人は追放され、幕府は大名から沿岸の警備を命じられた」が同じ意味か。

中学生の42%、高校生の27%が「同じだ」と解答した。

この問題の場合、「幕府が大名から命じられた」という後者の文章は、日本史のごく基礎的な知識があれば内容的にあり得ないと解るものです。それにも関わらず「同じ」という解答がこれだけ出るのは驚きで、これがもし文面から正誤が判断できないように「AはBに命じた」と「AにBから命じられた」とが同じか違うかという問題だったなら、どれだけの正解率(というより不正解率)が出たのか、考えると恐ろしい気がします。
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