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経済政策で人は死ぬか? -- 公衆衛生学から見た不況対策 (デヴィッド・スタックラー&サンジェイ・バス共著:草思社)

 少し前に新聞の書評を読んで興味を持った本を図書館の新着コーナーで見つけ、早速借りてきました。金融恐慌などの大不況時におけるいろいろな国で取られた対策がどのように作用したのかを検証した、かなり本格的な内容の本なのですが、その割にはかなり読みやすく、2-3日で読み終わる事が出来ました。これまで、現在の日本の財政状況から見る限り消費税の10%さらにそれ以上の再増税は必要で避けられないと考えていたのですが、その意見を変えるべきかもしれないとこの本を読んで思い始めています。

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バンヴァードの阿房宮 -- 世界を変えなかった十三人 (ポール・コリンズ著:白水社)

 副題にあるように、「世界を変える発明・発見」の主人公になり損ねた人々を紹介する内容で、当然ながら現在ではほぼ無名ながらその時代には一世を風靡した人物の列伝です。訳者あとがきや、ネット上での書評でも同様の考察が書かれていますが、私自身がこの本を読むまで知っていたのはせいぜい空洞地球とN線、偽台湾人の話だけで、そのうちで主役の名を(辛うじて)知っていたのはN線の「発見者」ルネ・ブロンゾだけでした。ところでこのN線騒動に関して、あとがきやネット上の書評ではSTAP細胞事件とそっくりだと書いているものが多いのですが、実際にはどうでしょうか?もちろんどちらの事件も、「世紀の新発見」が跡形も無く消えたという点では同じですが、STAPの方はかなり明確な悪意(でっちあげ)があったのに対して、N線の方は観測限界ぎりぎりの現象を誤認したという面が強いように感じます。ブロンゾがその時点ですでに有名な学者であったためにかなりの間信用され続け、その観測も彼のグループだけではなかったのに対し、STAPの方は発見者自身はほぼ無名で、他の実験者はまったく追試ができない状態でしたからかなり違います。むしろシェークスピアの贋作を作り続けたアイアランドの方が精神的には近いかもしれません。

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赤い大公 -- ハプスブルク家と東欧の20世紀 (ティモシー・スナイダー著:慶應義塾大学出版会)

 スイス北東部に端を発するハプスブルク家は、16世紀には婚姻関係を利用して中部ヨーロッパとイベリア半島を領する大帝国の支配者となったヨーロッパ随一の名門王家です。このうちスペイン系ハプスブルク家は1700年に途絶えますが、オーストリア系ハプスブルク家はその後も中欧を支配し続け、20世紀初頭においてもオーストリア・ハンガリーを中心とする「ハプスブルク君主国」として大国の地位を保ち続けていました。(実は有名なマリア・テレジアでオーストリア系ハプスブルク家の男系は途絶えており、彼女以降の王家の正式名称は、ハプスブルク=ロートリンゲン家です。)フランツ・ヨーゼフ1世を皇帝として戴くハプスブルク君主国にはさまざまな民族がその文化を保ったまま共存しており、それら多くの民族を纏める要としてハプスブルク家の王族たちが存在していたのですが、この本はその王族の中でも皇位からはやや遠いカール・シュテファン・フォン・エスターライヒ大公とその子供たちが、20世紀前半の激動の時代をどのように生きたのかがテーマとなっています。タイトルの「赤い大公」とはカール・シュテファンの末子であるヴィルヘルムの綽名で、ハプスブルク本国の意向に反する形でウクライナ独立に肩入れしていた事がその呼び名の理由となっています。

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論文捏造 (村松 秀 著:中公新書ラクレ)

 余りにもタイムリーな話題である科学界での捏造研究を取り上げたこの本、ミソなのは出版が2006年という点です。扱われているのはもちろんSTAP細胞ではなく、2000年から2001年にかけてのベル研究所の研究員ヘンドリック・シェーンによる有機超伝導体に関する研究捏造(シェーン事件)ですが、事件の経緯が驚くほどSTAP細胞の件と似ており、読んでいて唖然としました。しかも捏造の経緯や捏造者の言動だけでなく、対象者の所属した研究機関や出身大学の発覚前後の対応までが両方の事件で類似しており、一見すると「STAP事件を参考にして書かれた本」かのように見えるほどです。もちろんそれはありえないのですが、その逆にシェーン事件を参考にしてSTAP事件の報道がなされているために類似性が強調されているように見えるのでしょうか?
  両事件ともにそれまでは無名の研究者が有名な研究所に入ってから「ノーベル賞級」の発見をしており、ベル研究所も理化学研究所も名門ながらその時点でやや落ち目だったために、その巻き返しのために捏造者を全面的にバックアップして宣伝利用し、結果的に余計に深みに嵌っています。また問題の研究が行われた場所が実はあいまいなのも同じで、これが捏造が行われていたのを見逃す原因になっています。特にSTAPの場合、「ハーバード大」という海外の権威に対して理研や早大が全面的にひれ伏して思考停止していたのではないでしょうか。また、本来は「誰が実験しても同じ結果が得られる」という再現性こそが科学の根幹であり、両事例共にそれが出来ていない以上「科学的結果でない」とすら言える状況だったのに、逆にその点が「何かうまいコツがあって、彼らにしか出来ないのだろう」と捏造者を神の手を持つものかのように持ち上げる解釈がされた点も似ています。近年の特に新たな製品開発につながる研究では特許の問題で手の内を明かさない場合が多いのでこんな事になるのですが、これがまかり通るようでは科学とは言えないのでは。
 もう一つ印象的だったのは、調査委員会におけるシェーンの言動です。確かに肝心の部分は色々と言い逃れをしているのですが、あたかもまったく真摯に研究をしてきたかのように淡々と調査に答えており、本人自身も自分の(捏造の)研究内容を真実と思っているかのようです。恐らく自分を守るための嘘をいつの間にか自分で信じてしまったのだと思いますが、STAPの方の会見を見ても同様の事が起こっているように見えます。

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文明崩壊 (ジャレド・ダイアモンド:草思社)

 恐らくこの種の硬い内容としてはかなり有名な本だと思います。私にとってこの著者の本を読むのは、「銃・病原菌・鉄」に続き二冊目で、特に興味を持ったのは、6-8章のヴァイキング特にそのグリーンランド植民地に関する部分と、13章の現代オーストラリアに関する部分でした。

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